回顧録

律子、事務所の制服着てるけど、今日は事務の仕事がメインか?

「書類溜め込んだ誰かさんのおかげでね」

んー、何のことかな。ふふふっ。

「そこでカッコつけてたって、アミバにしか見えないわよ」

ファン層をマニアックに狙い付けた律子らしく、マニアックな突っ込みだな。

「誰かさんのおかげで、更にマニアックな知識が増えてきてるのよっ。
 たく、もう」

いいじゃないのか。ラジオとかの仕事でトークのネタが増えてさ。
オールナイトニッポンが最盛期だった頃が懐かしいなぁ…
中島みゆきとかサンスペの鶴光は面白かったぜ。
俺の住んでた所は、第2部を流してなかったから、他の局の周波数に合わせて
聴いてたもんだよ。深夜は遠距離でも電波が届くからな。
ほら、ニッ●ン放送の取締役の亀淵さん。あの人も第二部でやってたんだよ。

「へぇ、ヤッパリ現場の経験って、経営にも役に立つの?」

そりゃ、何事も現場に立たず、客の顔見ないで商売するなんて出来ないだろう。

「確かにそうね。客商売、人気商売ですものね。」

でも、その制服見てるとさ、昔よく通ってたゲームセンターの店員の制服を
思い出すよ…
ゲームセンターといえば、馴染みになって店員にお願いしてさ、テーブル筐体の
鍵開けては、基板引っ張り出しては、テストモードでゲーム音楽を流したりして
楽しんでたんだよな。たまに、テストモードで聞けない曲とかもあったりして
悔しかったりもしたけどな。NAMC●のシステム24とかの基板は、最初から
オーディオ出力用の端子があったから、ピンジャック変換のケーブルを自作して
録音とかしたもんだよな…

K●NAMIのバブルシステムという、今はもう見かける事のないバブルメモリに
プログラムを入れていたシステムなんて、電源入れた時にシステムチェックで
時間かかりすぎてさ、テスト中にカウントダウンしては途中から、格調高い
BGMが流れててさ、それを聴きたいが為に何度もゲーム機の電源を勝手に
ON/OFFしたりしてさ…あれ、通電しているうちに内部の温度が高くなって、
素子の動作が安定するのか、2度目、3度目からは、曲の演奏時間がだんだん
短くなるんだよな。
電源のON/OFFをやりすぎちゃって、バブルメモリをぶっ飛ばした奴もいたっけ。
まぁ、物理的にもそういう問題に対処する為に、後期のモデルは最初から
普通のROMにされて、前期のモデルも修理に持ち込まれる度に、後期と同様に
ROM化改造されてしまってねぇ…
前期モデルのままで、完動品なら一時期は相当のプレミアがついたしな。

「プロデューサー、昔話は良いですから、仕事してください…」

ああ、ぁぁ、悪かった…まぁ、後でCD渡すから、曲聞いといてくれ。
昔のゲームミュージックとかって、今でもTVのSEで流れる事も多いからな。
(ううっ、この前の仕事で怒ったままかな。
 でも、まんざらじゃなさそうだったけどな。)
 反応も良かったし)