ティザー効果
千早、この前のアレ、よくやった。ま、狙ったとおりの反応で戦略的に、
第一段階は成功だな。
「第一段階?」
そ、ティザー効果を使ったのさ。なんだコレは…って思わせつつも、小出しに
情報を出していく「焦らし」の手法で、興味を引くって奴さ。
「じゃ、何で最初にあんな事を?」
最初の段階で、お笑い系の人間かと思わせて、実は本格的なシンガーだった…
って思わせた方が、意外性が強くて印象に残るだろう。
最初から、いきなり歌だけでやったって、客の興味を引く為に何でもかんでも
やったおかげで方向性が判らなくなる…なんてのは本末転倒だしな。
だから、最初だけはああいう客引きをした後で、ガツンと実力を見せてやれば
ファン層も確実に掴めるだろう。
「そういうプロモーション戦略だったんですか…私、そんな事も知らずに…
それなら、そういう戦略だという事で、今後もそういう方向性には納得が
いきます。これからもよろしくお願いします。ちょっと恥ずかしいけど…」
ま、黙ってたのは悪かったけどさ、これからもティザー効果とかをうまく使って
アピールしていくぜ。後は、千早の歌の力をファンを惹きつけてくれ。
(ありゃ本当は半分以上、俺の趣味だったけどな…
ま、上手く納得できる理由があれば、もっと遊ばせてもらえそうだな…)
「プロデューサー、なんか悪巧みを楽しんでる子供の顔になってますよ」
げっ、律子…いつの間に背後に。
「ちゃんと”仕事”してくださいよ…って、大丈夫かな…この人で…」